更年期障害については「更年期障害とは?~更年期障害の症状一覧~」をご覧頂ければ分かると思いますが、この女性を悩ませる更年期障害が発生する理由・原因は何処に有るのでしょうか?
今日の記事ではその辺りについてまとめて行きたいと思います。少し専門的な用語も出てくるのでややこしいです(^_^;)
月経と女性ホルモンの関係
更年期障害の原因を理解するためには「月経(生理)」と「女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)」の関係を理解しておくことが必要です。
女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の二つが有ります。そのうちエストロゲンが主要な働きを行い、プロゲステロンはエストロゲンの活動を抑制するのに活躍します。
具体的には、視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、その刺激を受けた視床下部から卵胞刺激ホルモンが分泌されます。その卵胞刺激ホルモンのおかげで卵巣の中にある1個の卵胞が成熟を迎え、女性ホルモンである「エストロゲン」を分泌します。
エストロゲンが血液中に充満していることを視床下部・下垂体が感じると、今度は同じように女性ホルモン「プロゲステロン」を分泌するように働いていくことになります。エストロゲンとプロゲステロンは相互に保管し合っている関係と言って良いでしょう。
体温を毎日図っている方はお分かりになるかと思いますが、月経は大体28日周期で行われます。そのうち前半の2週間は低体温期でエストロゲンが多く分泌されている時期、後半の2週間は高体温期でプロゲステロンが多く分泌されている時期に当たります。
更年期障害が発生する原因
月経と女性ホルモンの関係は上記で述べた通りですが、更年期に入るに連れて女性ホルモンの分泌は減少していきます。
しかし、女性ホルモンが少ないと視床下部・下垂体は女性ホルモンを分泌させるために性腺刺激ホルモン放出ホルモン・卵胞刺激ホルモンを放出して卵巣に「もっと働いて女性ホルモンを放出しろ!!」と命令を送り続けることになります。
しかし、更年期に入った女性は女性ホルモンを分泌する力がそもそも減少しているため、この視床下部・下垂体からの命令は叶わない命令であり、命令だけが視床下部・下垂体から放出されている状態になります。
そして、この状態が続くとやがて自律神経に変調をきたしてしまい、更年期障害を引き起こす原因になってしまうわけです。
なぜなら、月経と女性ホルモンの関係の所で述べた【視床下部】には下垂体などの女性ホルモンを刺激する中枢があるだけなく自律神経系の中枢も存在しています。
つまり視床下部が性腺刺激ホルモン放出ホルモンなどを分泌するように過度に働くと、それは自律神経系へもかなり影響が及んでしまうことになります。その結果自律神経のバランスが崩れてしまい自律神経系失調症になってしまうのです。
自律神経とは
自律神経とは、私たちの体の中の臓器や器官の間に上手く入り込んで、それらの働きを調節してくれる大事な神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経の二つが有り、名前からも分かるようにこれらの二つが相反する機能を上手く調節しながら我々は生きているのです。例えば「血管の収縮と拡張」「血圧の上昇と下降」などですね。
イメージ的には交感神経は興奮を示し・副交感神経は鎮静を示すものと言われています。
そのため、この自律神経のバランス(交感神経と副交感神経のバランスと考えて下さい)が崩れると、今まで上手くいっていた体の機能に変調が起こり、【のぼせ、ほてり、発汗、動悸、息切れ、便秘、下痢、冷え性】などの不定愁訴を感じてしまうわけですね。
つまり更年期障害の流れは下記のようになります。
①更年期による卵巣機能の低下⇒②女性ホルモンの分泌が減少・激減⇒③視床下部がホルモンを大量放出⇒④自律神経に悪影響を及びす⇒⑤自立神経失調症⇒⑥不定愁訴・更年期障害の発生。
また、女性ホルモンの主要な役割を果たすエストロゲンには気分を高揚させる働きが有ることが認められています。更年期に入った女性がうつ気味になるのもこのエストロゲンの分泌が減少することと深い相関関係があります。