更年期に入ると卵巣の機能が低下して、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少し、やがて分泌はストップしてしまいます。このエストロゲンの不足状態が長期間続くことにより、骨粗鬆症であったり動脈硬化症などの重い病気を引き起こす要因になることが分かっています。
エストロゲンが減少すると発生する主な症状としては「更年期障害とは?~更年期障害の症状一覧~」でも記載している自律神経の乱れに起因する様々な不定愁訴の他に、病気であることをすぐに気付けない骨粗鬆症や動脈硬化症などの「老年期障害(晩発症状)」に分けることができます。
一般的な年齢の話をすると更年期障害は45歳~60歳くらいにかけて起こり、老年期障害(晩発症状)は60歳以降に発生するのが普通です。下記にそれぞれ気をつけて置きたい病状をまとめておきました。
エストロゲン不足が老年期障害(晩発症状)を引き起こす理由
その理由としては、エストロゲンが女性ホルモンとして月経を起こす要因になるだけでなく、骨からカルシウムが出て行ったしまうのを防止したり、悪玉コレステロールの値を下げたりするなど様々な機能を持っていることが挙げられます。
つまりエストロゲンの分泌量が低下して不足することにより、上で述べた様々な機能の働きが低下して、老年期障害を引き起こすというわけですね。
骨粗鬆症の原因としてのエストロゲン
骨粗鬆症は、老年期になると女性のみならず男性にも等しく襲い掛かってくる病気で、本来であれば骨を作ってくれるはずのカルシウム成分が少なくなって、骨の密度(骨量)が低下してしまう病気です。
イメージとしては、通常の成人の骨は健康的でパンパンに張っている状態。骨粗鬆症の人の骨はスカスカで非常に脆く、骨が折れやすい状態ですね。
大腿骨頚部を骨折してしまった高齢の方の3分の1がそのまま寝たきりになったり、更には痴呆症を患ってしまうと言われており、注意が必要な部分になります。
先程も言ったように、エストロゲンは骨密度及び骨量を保つのに非常に重要な役割を果たしていますので、エストロゲンの量が低下すると骨密度(骨量)が低下し骨粗鬆症になってしまいます。
動脈硬化症の原因としてのエストロゲン
動脈硬化とは、体の中にある血管の壁部分が通常時と比べて非常に厚くなってしまい、血管が狭くなる病気です。この症状は血液中に、悪玉コレステロール(以下、LDL)が過剰に存在していると発生してしまう病気です。
狭心症や心筋梗塞、脳梗塞も動脈硬化症の一種で、上記で述べた症状が脳の血管で起こるのか、心臓の血管で起こるのかの違いです。従って、LDLは非常に危険な物質になります。
エストロゲンには悪玉であるLDLを減少させる作用も有りますし、LDLを減少させる善玉コレストロール(HDL)を増やす作用も有ります。また血管を柔軟にする作用も有ります。
このような作用があるエストロゲンですが、加齢とともにその分泌量は減少していきます。その結果、動脈硬化症を発症するリスクは更年期以降非常に高くなると言われています。